フランスの、私の勤める音楽院では、
一年に2回、通信簿を書きます。
昔は、カーボン紙のついた通信簿用の
ノートがあって、
それに、書き入れていました。
今では、それ用のソフトがありますので、
パソコンから、記入します。
このソフトは、たぶん、
フランス全国、どの音楽院でも同じものを
使っているのではないかと思います。
その記入欄には、
技術的なことや、音楽的なことについて、
1)できていること、
2)この先どうするか、
ということを書くようになっています。
この1)と2)は、
昔だったら、
「長所」と「欠点」というような言い方をしていたと思います。
それを変えたのは、
「後進国」という言い方をやめて、
「発展途上国」という言い方にしたのと、
ちょっと似ている、と私は思います。
(先進国という言い方は良いのに、
後進国が良くないのは、どうしてなのか、
私には説明がつきませんが。
解決したいのなら、そういう区別をやめるのがいいと思います)
いずれにしても、
どう呼び方を変えても、
今できていることと、
今できていないこと、という区別はあるわけです。
さて、
先日、職員会議で、
ちゃんと記入欄通りに記入しましょう、という注意がありました。
私といえば、
いつも、これを無視して、自由勝手にコメントを書いています。
注意と言っても、
まぁ、先生全員に対しての勧告ですので、
今のところは、それを無視して、自分の方針で行きます。
なぜかと言いますと、
生徒さんは、自分のできていないところは、
もう、大体わかっている、と思うからです。
そのことを、わざわざ通信簿に書くこともないと思います。
それよりも、生徒さんが
意外と知らないのは、
*何ができているか、そして、
*どんなところに才能(?)がありそうなのか、
ということだと思います。
ですので、私は、それを書くことにしています。
才能、というところが、
記入欄の2番目の
「この先どうするか」ということなのかもしれません。
ですが、
欠点を克服しようとするのと、
どこに可能性がありそうなのか、を考えるのでは、
ちょっとした違いがあると思います。
このちょっとした違いは、
長い目で見ると、
かなり大きな違いになってくるのではないかと、
私は感じています。
通信簿で、
「欠点の烙印」を押されるのは、生徒さんにとっては、
とてもよくないと思います。
まるで、若い人に「呪い」をかけるようなものです。
それなら、私が怒られてもいいですから、
その欄は、空白にしておきたいと思っています。
そして、
できていること、
その人特有の才能の「芽」について、
書くようにしています。
Chiyo
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