オンラインではなくて、
オンラクイン(音楽院)でのことです。
中学生のお嬢さんが、小さなエチュードを練習しています。
それは、1〜2小節ごとに、強弱がコロコロ変わります。
すばやく、強弱を変えたり、
短い期間に、クレッシェンド、ディミニュエンドをする、
その目的の、練習曲です。
さて、
一応、弾けるようになったのはいいですが、
タッチの弱い音で、まっ平らな感じ。
起伏はありません。
そういえば、
私たちが住む、ロワール地方は、
実に、まっ平らな平地が続くのです。
そういう景色ばかり見ていると、
こういう音楽になってしまうのかもしれない、と
思ってしまいます。
私は、東京生まれですが、
東京というところは、
ちょっと郊外に出れば、すぐに山あり、谷ありの、
景色になります。
思わず、
「うーん、それだと、ロワール地方の平らさです。
あなた、ここ出身でしょう。
もうちょっと、起伏を」と、言ってしまいます。
一生懸命やって、
なんとか、少し、起伏が出てきます。
「いいですね。
今のところ、『中央台地』っていう感じです」と言えば、
クスッと笑っているのが聞こえます。
「中央台地」というのは、フランスの、なだらかな山岳地帯。
とても古いので、
ゴツゴツが風化してしまった、やわらかな景色です。
標高も、あまり高くない。
「アルプスくらい、ゴツゴツ起伏があるといいんですけれど」
また、
クスッと笑っています。
がんばって、弾いています。
そうしたら、
なんと、
ものすごくダイナミックな、
生き生きとした、エチュードになりました。
「そう、それ!
いい感じです」
Chiyo
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フランス在住ピアノ講師
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