一つの曲を弾くとき、いろいろ考えたり、
時代背景を考えて、様式に気をつけたり、
いろいろ考えます。
また、どんな深い意味があるのだろう、と
探したりします。
あまり考えすぎて、つまらない気持ちがしてくることもあります。
そんな時、
頭に浮かぶのは、スカルラッティの言葉です。
17〜18世紀の、チェンバロ作曲家で、
彼の作品は、
ピアニストも、よく弾きます。
そのチェンバロ練習曲の、楽譜のはじめに書かれているのは。
***
読者の皆さん、
あなたが、趣味の方、教師の方、どちらであろうと、
これらの曲に、
深い意味を見出そうとはしないでください。
むしろ、これはチェンバロで大胆な演奏をできるように、
訓練するために書かれた、
よくできた「おしゃべり」のようなものを、
期待していてください。
***
というようなことです。
謙遜なのかもしれない、とも思います。
なぜって、中身は、もう、
素敵な曲ばかりなのです。
いずれにしても、
こんな風に言ってくれた作曲家がいてくれて、
よかったです。
あまり、難しく考えない。
「よくできた『おしゃべり』」のように、
シンプルに弾いていますと、
おのずから、美しさが、表現されたりします。
楽譜を、正確に、
ただ、ただ、弾いていきます。
そのようにして、
作曲家の、才能が、
自然と、美しく、流れてきたりすることもあります。