ラベル 講師のうらばなし の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 講師のうらばなし の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2021年10月6日水曜日

先生を、かえるとき


 音楽院でのことです。
3年前からピアノを習っていた、ヤスミンちゃんが、
転校することになりました。

お父さんの仕事の関係で、
突然、決まったのです。
お母さんから、
「パリ近郊に行きますが、いい先生をご存知ですか」と
聞かれました。

いえ、そこには知り合いはいませんけど、
音楽院があるのですから、そこへいらっしゃい、と
言ったはいいものの、
もう、新学年は始まっています。
新たに、新入生を受け入れるほど、空きがあるのかどうか。

たぶん、
来年を待ちながら、
個人レッスンを頼むことになるでしょう。

さて、
きのうが、ヤスミンちゃんとの最後のレッスンでした。
お家では、ダンボール箱だらけで、
引越しの準備の中、
ちゃんと練習してきました。
ふつうに、さっさと、レッスンをして、
最後は、お話の時間をとります。

今までも、あまりおしゃべりではない彼女は、
ここ数週間、もっと無口になっています。
小さな顔に、大きなマスクで、目元ぐらいしか見えませんが、
今にも、泣きそうな感じです。
私だって、寂しいです。


はなむけに、なにか、一曲弾きますから、どんなのがいいかしら?
と、尋ねると、うーん、としばらく考えては、
「楽しそうな曲」というお答え。
楽しそうな曲というのは、ピアノレパートリーでは、
どちらかというと数少ないです。
ボッケリーニのメヌエットを、思い出しましたので、
それを弾きました。

3度の和音が続くところなんて、
まるで、はっはっはっはっはっは、と笑っているようです。

ですが、
楽しい曲をリクエストされるときは、
ご本人が、悲しいとき、という確率は高いです。
それに、こんな時に「はっはっは」なんて笑うと、
悲しさが、よけいに増えるような感じです。

ヤスミンちゃんは、
相変わらず、何も言いません。
ただ、じっと、そこに座っています。
時間が来ても、立ち上がりもしません。
でも、
見つめ合っているなんて、気まずいのやら、寂しいのやら。
私が、一方的に、お話しをしてしまいます。

それではね、引き続き、ピアノ、エンジョイしてね、とお話ししているうちに、
次の生徒さんが、やって来ましたので、
ようやく、
さよならの時間になりました。
今、思い出しましたが、
ヤスミンちゃんは、「au revoir(さようなら)」も言いませんでした。
ハグをして、
ただ、帰って行きました。

ずいぶんと、
悲しいひと時でした。


いい思い出になりますように!





Chiyo

動画添削レッスン
フランス在住ピアノ講師

レッスン放題。動画、無制限。
初心者、歓迎中
2週間無料、試し。
(中期、長期割引あり)

↓ もっと読む
https://tateitoyoko.blogspot.com/p/blog-page.html


にほんブログ村 にほんブログ村へ
にほんブログ村

2021年7月29日木曜日

ピアノの、お国柄


 今、私は、フランスと、日本の受講生の方にレッスンをしています。
日本の方にレッスンをするようになって、
あぁ、これは、お国柄だなぁと思うことがあります。

それは、指づかいのことです。
日本の人は、若い人も大人の方も、
指づかいがとても正確のようです。
ですので、スラスラことが運ぶように思います。

その点、
フランスの若い人たちの中には、
いい加減な人が多いです。
楽譜に書いてある指番号は、無視。
自分流で弾きます。
それでうまくいくのなら、文句も言いませんが、
うまくいかない時は、がっかりします。

そういうことが、続くと、
「バスに乗る時には、番号を見てから乗りますよ!」
と、イライラしてしまいます。

もう一つの問題は、
毎回、行きあったりばったりの指づかいを
使っていることです。
毎回、運指のインプロをやっているのです。

ですので、
指づかいは、ダンスの「振り付け」だと思って、
もっとジェスチャーに注目してください、と
説明をします。
それで、だんだん譜読みが上手くなる人もいます。

日本人の方は、あまり気がつかれないかもしれませんが、
指づかいを、きちんと守れる、というのは、
かなりお得な長所だと、思います。



Chiyo

動画添削レッスン
フランス在住ピアノ講師

レッスン放題。動画、無制限。
初心者、歓迎中
2週間無料、試し。
(中期、長期割引あり)

↓ もっと読む
https://tateitoyoko.blogspot.com/p/blog-page.html


にほんブログ村 にほんブログ村へ
にほんブログ村

2021年6月25日金曜日

今日は、ちょっとヤバい感じ


音楽院では、毎年、大きくなって卒業していく人がいます。
特に、卒業式はありませんが、
クラスで、ちょっとしたおやつ会をしたりします。
コロナの関係で、
今年も、おやつ会は、できませんが、
最後のレッスンの日には、
「さようなら」を言いますから、
それはそれは、特別な日になります。

毎年、そういうことが起こります。
そういうのは、私は、苦手です。
わざと、元気にふるまって、
「これからも、いつでも会えるんだから」と、
ニコニコしています。


今日も、
そういうことが起こる予定です。
18歳の生徒さんが、2人。
仲良しの2人ですので、一緒に来るそうです。
そのことを、もう1ヶ月も前から予定しています。

そんな話をするたびに、
繊細な少女?たちは、涙ぐんでしまいます。
つられて、こっちまで、グッときてしまいます。

思えば、
10年くらい、毎週のレッスンをご一緒してきました。
すると、
それがなくなる、というのは、
ずいぶん大きな変化となります。

山あり、谷ありの10年でしたが、
今では、大きくなって、
ドビュッシーやショパンが弾けるようになりました。
これから、
医学科を目指して、猛勉強の態勢に入るのだそうです。

さて、
今日は、どんな涙が出るのか、
「さようなら」を言うのはめんどくさいなぁ、と、
今日は、
私は、とても、おっくうです。








 

 


Chiyo

動画添削レッスン
フランス在住ピアノ講師

レッスン放題。動画、無制限。
初心者、歓迎中
2週間無料、試し。
(中期、長期割引あり)

↓ もっと読む
https://tateitoyoko.blogspot.com/p/blog-page.html


にほんブログ村 にほんブログ村へ
にほんブログ村

2021年6月24日木曜日

しぶとい生徒さん

オンラインではなくて、オンラクイン(音楽院)での話です。
こういうことは、珍しいです。

この生徒さんは、
まず、ギターのクラスに入って(きっと、うまく行かず)
次に、バイオリンのクラスに入ってから (さらに、匙を投げられて)
ピアノのクラスに入ってきました。

今、小学生の男の子です。
左手と右手をとりちがえたり、
フランス語がよくわからなかったり、
楽譜もよく読めないですし、
まぁ、この先、どうなるだろう、と思っていました。

ピアノを習うより、
もっと基本的な、読み書きや、算数の方が、
大切なのでは、と思ってしまいます。
一年休んで、少し大きくなったら、また来てください、と
お話しても、

お母さんは、ガンコです。
「のろくてもいい、音楽は、絶対、
人生にいいことをもたらせてくれる」と言って、
ピアノを続けさせようとします。

男の子は、
お母さんがそう言うのだから、仕方ありません。
無口で、がんばってやっています。

その男の子ですが、
それが、最近、ちょっと、
できるようになってきました。
あんなに、何もわからなかったのに。
少しずつ、できることが増えてきます。

すると
私も「トレビヤン!」(= とてもよろしい!)と、
言うことができます。
そうすると、いい循環に入っていけます。

そして、もう、これは、
雪だるま状態になります。
いいことが重なって、
どんどん上達します(のはずです)。

子どもさんでも、
大人の方でも、続けていれば、
だいたいは、上達してしまいます。
すると、
上達するか、しないか、の違いは、

しぶとく続けるか、どうか、の違いしかない

という私の考えは、
こういう状況を目にするたびに、
ますます補強されていきます。

ちょっぴり、あきらめかけていた自分を、
恥ずかしく思います。
このちいちゃな男の子は、毎日、
無口で、がんばっているのです。

しぶとい、この生徒さんに、
頭を下げて、敬礼いたします。



Chiyo

動画添削レッスン
フランス在住ピアノ講師

レッスン放題。動画、無制限。
初心者、歓迎中
2週間無料、試し。
(中期、長期割引あり)

↓ もっと読む
https://tateitoyoko.blogspot.com/p/blog-page.html


にほんブログ村 にほんブログ村へ
にほんブログ村

2021年6月22日火曜日

どうして、バッハを弾かないのだろう


 フランスと、私の育ってきた日本とで、
レパートリーに微妙な違いがある、という話です。

日本では、少しレベルが上がってきますと、
わりとすぐに、バッハのインベンションなどを、練習すると思います。
それが、フランスの音楽院では、
あまり使われていないように感じています。

もちろん、その価値は、認められているのです。
ですが、
じゅんぐりに、インベンションを練習していく、という習慣が、
あまりないように思います。

それは、ちょっと、残念だと思っています。
もちろん、いやいや、お薬のように弾いていても、
これまた、つまらないものですけれど。

私は、
バッハの「小さな前奏曲とフゲッタ」を、よく使います。
生徒さんには、よく喜ばれます。
そのはずです。
中には、素敵な曲がたくさん。
まるで、宝石箱のようです。

かっこいい、と言って、
楽しむ方は多いです。
ただし、譜読み力は、あったほうがいいです。
もちろん、
これで、譜読み力をつけることも、できるでしょう。

そして、
表現力も、もりもり、ついてくるでしょう。


Chiyo

動画添削レッスン
フランス在住ピアノ講師

レッスン放題。動画、無制限。
初心者、歓迎中
2週間無料、試し。
(中期、長期割引あり)

↓ もっと読む
https://tateitoyoko.blogspot.com/p/blog-page.html


にほんブログ村 にほんブログ村へ
にほんブログ村

2021年6月10日木曜日

自信を、とりもどす

きのうは、私の発表会の失敗経験の話をしました。
それでは、どのように、そのあと立ち上がったか、というご質問がありました。 

まるで、
私は自分の力だけで、そこから復帰できたような気がしていますが、
よく考えてみれば、
色々な方々に助けられています。

まず、先生です。
その後、ステージに乗るたびに、
先生は、太鼓判を押してくださいました。
ですので、
私は、それを信じて、弾いていました。
うまくいきましたので、
その後も、そのまま続けられたのだと思います。

今、
考えてみますと、そのときの先生の考え方、あり方、
優しさ、強さ、
そして、
曲の選び方は、絶妙だったと思います。

ミスタッチをすれば、
「それは、人間は創作をする力がある、ということです」
などと、のたまう先生でした。

あと、
もう一つ、きのう記事を書いていて、思ったことがあります。

発表会で、うまくいかなかった、と、
傷ついているのに、
まわりの人たちは、ほとんど気にしていたなかったことです。
実は、理解されなかった、ということ、
それが、さらに私の傷を広げたのですが、

今、考えますと、
それくらいのミスは、
あまり、人々は、気にしていない、ということでもあります。
次の日になったら、すっかり忘れていることでしょう。
それなのに、
私だけが、何十年たっても覚えているのです。

ミスタッチ、
暗譜忘れの恐怖、は、
他人は、全然気にかけていないのだ、と
いうことを、ときどき、思い出そうと思います。

そうやって、自信をとりもどせたら、
もう、こっちのものです。



* まとめ

1)先生の太鼓判を信じる
2)あなたの失敗は、他人は(あまり)気にかけていない


Chiyo

動画添削レッスン
フランス在住ピアノ講師

レッスン放題。動画、無制限。
初心者、歓迎中
2週間無料、試し。
(中期、長期割引あり)

↓ もっと読む
https://tateitoyoko.blogspot.com/p/blog-page.html


にほんブログ村 にほんブログ村へ
にほんブログ村

2021年6月9日水曜日

発表会トラウマから、復活

音楽院でも、オンラインでも、発表会が好きでないという方は、多いです。

大人の方では、
昔、発表会で失敗した経験があるから、という方は、
私が思っていたより多いです。

実は、この私も、
いやな思い出があります。
小学生、高学年のころだったと思います。
ちゃんと弾けていたと思っていた曲が、
ステージの、あの明かりのもとで弾いたら、
あるところで、すっかりわからなくなってしまったのです。

なんとか、
ピンチは抜けられたのですが、
そのこわかったこと、
失敗したというみじめさは、
今も、ちょっとこびりついています。

ですので、
ステージに出るときに、何がストレスになるか、と言ったら、
その思い出が、ぶり返すことです。
暗譜は大丈夫か、というのが、
やはり、気になります。

では、
どうやって、そこをやりくりしてきたかというと、
う〜ん、
そこを解決しようと思っても、
そこに気持ちが行ってしまうばかりで、
ますます気になる、ということがわかりましたので、
別なことに、気を向ける、しかありませんでした。

何に気持ちを向けるか、と言ったら、
もう、それは、「音楽」の内容に気を向けるしかありません。
もともと、
音楽の美しさ、
心地よさ、
表現のおもしろさ、
リズムの心地よさ、にひかれて、音楽をやっているのです。
そこに、戻るしかありません。

そこに、集中して、やっています。
それ以外の心配は、ゼロにはできませんが、
「ああ、そうなのね、心配よね」と、
ある程度、ほおっておくしかありません。

すると、結構、うまくいくものです。
うまく行ったときの楽しさも、それまた、大きいです。


私は、こんな風にして、
発表会トラウマと、共存しています。

ついでに書いておきますと、
プロの人でも、
小さいときにそういうことが起こらなくても、
キャリアの中で、そういう苦い経験をしている人を、
私は、幾人も知っています。
今までうまく行っていただけに、ショックも大きいようです。

でも、
また、なんとか、やりくりしているようですし、
また、
自分は、もう絶対暗譜では弾かない、と
方針を変えてしまった人も、います。


一番大事なのは、
音楽の楽しみ、だと思います。
それさえ、しっかりつかんでいれば、
あとは、なんとかなると思います。






Chiyo

動画添削レッスン
フランス在住ピアノ講師

レッスン放題。動画、無制限。
初心者、歓迎中
2週間無料、試し。
(中期、長期割引あり)

↓ もっと読む
https://tateitoyoko.blogspot.com/p/blog-page.html


にほんブログ村 にほんブログ村へ
にほんブログ村

2021年6月7日月曜日

曲選びについて(講師編)


 ピアノを習っている時に、どの曲を弾くか、ということは、
いろいろ書いています。
では、講師の方では、どのようにチョイスしているのか。

それは、人によって色々です。
私の友人で、音楽院にいる限りは、
絶対に、生徒さんにモーツァルトの曲は与えない、と
言っている人もいます。
難しすぎるから、もっと後になって、
大人になってから、勉強するべきだ、と言っています。

彼女は、国家試験の時にも、
そのようなことを主張したそうで、
私は、びっくり。
それはそれは、
ものすごい勢いで答弁したらしく、審査員も、
へぇ、なるほど、と言って、
何も言ってこなかったそうです。


それはともかく。

私は、どうかと言いますと、
まず、大きく分けて、2種類のケースがあると
考えます。

1)試験や、コンサートなどで、
その人の持ち味が生かされるもの

2)その人が苦手としている部分を伸ばすもの

なにも、コンクールに参加するのに、
苦手な曲を選ぶ必要はないわけです。
その人にあった曲が、いいです。

けれど、そんなことばかりしていますと、
栄養がかたよりますので、
そのあたりは、バランスを見ながら、
時々、2)のような曲も、選びます。
そうして、
様子を見ながら、長い目で、やっていきます。

それは、
はっきりしたルールがあるわけでもなく、
また、その方の、その時に弾きたい、という内なる声に、
耳を傾けながら、
やっています。

いずれにしても、ピアニストにとっては、
レパートリーは、ものすごく豊富ですので、
チョイスがたくさんある、というのは、
ラッキーなことだと思っています。



Chiyo

動画添削レッスン
フランス在住ピアノ講師

レッスン放題。動画、無制限。
初心者、歓迎中
2週間無料、試し。
(中期、長期割引あり)

↓ もっと読む
https://tateitoyoko.blogspot.com/p/blog-page.html


にほんブログ村 にほんブログ村へ
にほんブログ村

2021年6月3日木曜日

「隠れ右利き」


 きのうは、「隠れ左利き」のお話をしました。
その続きで、きょうは、「隠れ右利き」です。

右利きだと思っていたら、
実は、左利きの気(け)があった、ということ、
そして、それに気づいたら、
ピアノのギッチョが、ちょっと改善したというケースの
お話をしました。

さて、
ふつうは、「隠れ左利き」になります。
世の中は、右利きのために、右利きによって作られているからです。
ですが、
「隠れ右利き」に出会った時には、
ずいぶん、おどろきました。
今でも、思い返しては、うなってしまいます。

音楽院の生徒さんで、
とてもまじめで熱心な女の子でした。
小さい時から、高校卒業まで、
長い間、お伴してきました。

それが、
大きくなるにつれて、なんとなく、ギッチョな感じがしてきます。
あんなに弾けていたのに、だんだんおかしくなってきます。
その感じが、なんとも言えなく、
どうして、そんなことがそんなに難しいのかな、と、
経験から考えたり想像したりしても、
わからない。
なんだか、逆さまのような気がする。

変だなぁと、思っているのですが、
どうも解決がつきません。
ある日、話をしていて、
ええっと、思います。
高校生になって、もう卒業前、という時です。

実は、
彼女は、コンペにも出るくらいのレベルの
フェンシングの選手でした。

それが、
自分は、左利きと言われて、
左手でサーブル(武器)を持つけれど、
実際は、自分は右利きだ、というのです。

小さかったころ、フェンシングの先生が、
「あなたは左利きだから、左手でサーブルを持つように」と、
仕込まれた、というのです。
でも、自分では、右利きだと思っている。
もし、そのエラーこそ無かったら、
今、自分は、もっといいレベルに行っていたはずだ、
もっと勝てるはずだ、と、
カンカンになって怒っているのです。

いつもは、静かで、
はにかみ屋さんで、
あまり何も言わないお嬢さんが、
そのことでは、かなり強い口調で、
お話ししてくれましたので、
わたしも、びっくり。
なんと気の毒な。

そして、ピアノのことを、振り返ってみますと、
あぁ、そういうことか、と、
ものすごく、ふに落ちます。
両手が水面下で戦っていた感じ、というのが、
いつも感じていた、あの違和感だった、と
納得がいきます。

それではギッチョになるはず、と思いました。
それに、
それなら、右手に取り替えればいいのに、と思ったのですが、
もう遅かりし、だというのです。
その悔しさと言ったら!

その後、ピアノは卒業して、
他の地に行かれましたので、ピアノのことはわかりませんが、
(今、もう、すんなり弾いてらっしゃると思いますが)
そして、この話は、「隠れ右利き」なんていう特別な例なのですが、
まぁ、それはともかく、

もっとシンプルな例で、
もしかすると、自分は左利きかもしれない、
ということを疑ってみると、
ピアノで、
こじれていたものが、すっと、取れるような、
そんなことが、起こることもある、という話でした。




Chiyo



動画添削レッスン
フランス在住ピアノ講師

レッスン放題。動画、無制限。
初心者、歓迎中
2週間無料、試し。
(中期、長期割引あり)

↓ もっと読む
https://tateitoyoko.blogspot.com/p/blog-page.html


にほんブログ村 にほんブログ村へ
にほんブログ村

2021年4月21日水曜日

クレールさんの、松葉杖

数年前の音楽院でのことです。
クレールさんという、高校生の女の子の話です。
とてもていねいに、なんでもよく練習するピアノの生徒さんでした。

ただし、音のタッチが浅くて、
なんでも、音が弱いのが、悩みのタネでした。
試験の時など、どういうわけか、ことさら音が小さくなります。

ふだんは、とても愛想よく、おしゃべりなので、
内気、というわけでもありません。
高校のクラスでは、人気投票で、
「フレンドリー度数一番」に選ばれたような人です。

さて、
そのクレールさんが、
ある日、足の手術をしなくてはならなくなりました。
足の骨を削るので、
まずは右足。
数ヶ月経ったら、左足。
合計、7ヶ月くらいは、松葉杖を使わなくてはなりません。

しかたありません。
でも、まぁ、ピアノへの差し障り、と言ったら、
ペダルを使えない、だけです。
指の方は、きちんと練習できるだろうと、
あまり気にしていませんでした。

さて、
しばらくしたら、思いもしてなかったことが起こりました。
演奏に、変化が出てきたのです。
音が、大きくなっています
それに、いろんな種類の音色が、使いこなせるようになっています。
したがって、
表現力も、幅広くなってきています。

私は、大喜び。
これは、きっと、松葉杖のおかげだと思いました。
あの松葉杖というのは、
私は使ったことがないので知りませんが、
どうやら、腕の力、腹筋が必要なのです。

7ヶ月間、
ぐんぐん、音の質も変わってきて、
元気で表現力のあるピアノが弾けるようになりました。

これが、
松葉杖による筋トレのおかげだというのは、
ほぼ、自信をもって、言えます。
理由は、
残念ながら、
足が回復して、
松葉杖もいらなくなった時、
また、前の小さな音に、もどってしまったからです。

いくら、その気持ちがあっても、音が出ません。
やはり、あれは、筋肉のおかげだったと思います。

さて、
そのクレールさんは、今では、
お母さんになりました。
一歳のお嬢さん「ルー」ちゃんが、
元気よくピアノを叩いている動画が、
先日、送られてきました。

ルーちゃんは、どんな音で弾くのか、
楽しみです。
また、お母さんになったクレールさんは、
赤ちゃんを抱っこしたり、
家事もこなしたり、、、をくりかえしているうちに、
腕の筋力も、アップしているのではないかとも、
考えています。



Chiyo




 ただ今、大人初心者、限定キャンペーン中 ♫


動画添削レッスン
フランス在住ピアノ講師

レッスン放題。動画、無制限。
初心者、歓迎中
2週間無料、試し。
(中期、長期割引あり)

↓ もっと読む
https://tateitoyoko.blogspot.com/p/blog-page.html


にほんブログ村 にほんブログ村へ
にほんブログ村

2021年4月12日月曜日

マチルドちゃんはスゴイ

マチルドちゃん、というのは、音楽院のピアノ生徒さんで、8歳の女の子です。
それが、可愛くて、お話が面白いのです。
まるで、おばあちゃんのような話しっぷりです。
まだ、ちいちゃくて、
手も、小さいです。
それなのに、ニコニコしながらお話する、
その話っぷりといったら、大人っぽいのです。

先日、
お兄ちゃんの話をしてきます。
今度、新しく自分の部屋をあてがわれたのだけど、
お兄ちゃんが、入ってきてしょうがない。
せっかく自分の部屋ができて、いいと思っていたのに。

理由は、
Wi-Fiのつながりが、マチルドちゃんのところの方がいいから、
そこへやってきて、ゲームをするのだそうです。

「頼んでも出ていってくれないので、
しょうがない。
だから、
来てもいいけど、
これからは、月2ユーロ払ってもらいますからね、
と、言ったんです」

ほんと?!
で、そしたら、なんて言った?

「そしたら、払ってくれた。
これから、あたし、お金もうかるわ〜。
たった2ユーロだけど、
少しだけど、
一年たったら、24ユーロも!」

と、ニッコニコ顔で、
しめしめ、と両手をこすっています。

私は、わっ、すごい、と
おどろいてしまいます。
いったい、どういう家庭教育なのだろう、と
新鮮にも思います。

さて、

もし、
今、10ユーロもらえるのと、
3ヶ月後に、15ユーロもらえるのと、
どっちがいい?と聞いたら、
今、もらえる方がいいという人と、
しばらく待って、たくさんもらえる方がいい、という人と、
2つのグループに分かれるそうです。

このマチルドちゃんだったら、
たぶん、しばらく待った方がいい、と考えるかもしれません。

それにしても、
困った兄ちゃんにどう対処するか、を、

文句を言うのでもなく、
お母さんに告げ口するでもなく、
淡々と、楽しむみたいに、
たぶん、あのいつもの「おばあちゃん調」で、
お兄ちゃんとやりあって、
この外交問題を、見事にクリアしてしまった
マチルドちゃんに、
感心してしまいます。

そして、
たった少しの2ユーロでも、
コツコツやっていけば、
大きな額になる、とわかっているところが、
スゴイと思います。

私も、
この先が、楽しみです。


Chiyo

動画添削レッスン
フランス在住ピアノ講師

レッスン放題。動画、無制限。
初心者、歓迎中
2週間無料、試し。
(中期、長期割引あり)

↓ もっと読む
https://tateitoyoko.blogspot.com/p/blog-page.html


にほんブログ村 にほんブログ村へ
にほんブログ村

2021年3月25日木曜日

いちじくジャム!


 オンラインではなくて、オンラクイン(音楽院)でのことです。
がんばり屋さんの、7歳のイスラちゃんに、
バランスの話をしていたときのことです。

右手と、左手の音色をバランスよく、という話です。
7歳の女の子に、「バランス」と言っても、
ちゃんとよくわかってもらえるのか?

それならこの際、
ハンバーガーとか、フライドポテトに、
どんな風にソースをかけているか、という話を聞いてみよう、と
思います。
子供の好きなもの、ナンバーワンは、たいていマクドナルドの食事なのです。

ところが、
イスラちゃんの大好きなものは、
ブロッコリー。

!!

では、
マヨネーズか何かかけて食するのかと思えば、
塩も、かけずに食べるのが好き、ということです。
私の目論見は、失敗に終わります。

次に、それでは、
タルティンヌは、好きか、と聞きます。
タルティンヌは、バゲットパンなどに、何かを塗ったものです。
毎朝、食べる、ということで、
ホッとします。
バターとジャムをつけて食べる、というので、
ああ、なるほど、
ジャムは、イチゴジャム、それともアンズ?

すると、
珍しいことに、
「いちじく」ということです。
いちじくジャムは、作ったり、買ったり。
どちらでもいいが、
いつも、いちじくジャムだそうです。

なるほど。
感心してしまって、
どうしてそんな話を始めたのかも、忘れてしまいます。

「へぇ、いちじくジャム!珍しい。実は、
私も好きよ」
いや、私は、どちらかというとコンポートの方が好き、
おばあちゃんが昔、よく作ってくれた。。。などなどと、
話がどんどんずれてしまいます。
コンポートというのは、
果物の砂糖煮です。
砂糖味が薄いので、いくらでも食べられてしまいます。

そして、
そこまで来て、やっと、元の「バランス」の話に戻って、
ジャムつけすぎ、とか、
ジャム足りなすぎ、の話になります。
どういう味になるか。

と、ピアノの話をしながらも、
私は、私で、
そうか、イスラちゃんは、
あの優しいお母ちゃんに、毎日タルティンヌを用意してもらって、
学校に来ているんだな、と、
シーンが、目に浮かんできます。
アラブの国では、そういえば、いちじくジャムが出てきたりするな、と
思い出したりもします。

私は、東京から。
イスラちゃんはアルジェリアから。

その2人が、フランスで出会って、
同じように、いちじくの煮たのが好きで、
同じピアノの曲を弾いて、
これまた、運命だなぁ、などと
思ったりしました。




Chiyo

動画添削レッスン
フランス在住ピアノ講師

レッスン放題。動画、無制限。
初心者、歓迎中
2週間無料、試し。
(中期、長期割引あり)

↓ もっと読む
https://tateitoyoko.blogspot.com/p/blog-page.html


にほんブログ村 にほんブログ村へ
にほんブログ村