2021年6月3日木曜日

「隠れ右利き」


 きのうは、「隠れ左利き」のお話をしました。
その続きで、きょうは、「隠れ右利き」です。

右利きだと思っていたら、
実は、左利きの気(け)があった、ということ、
そして、それに気づいたら、
ピアノのギッチョが、ちょっと改善したというケースの
お話をしました。

さて、
ふつうは、「隠れ左利き」になります。
世の中は、右利きのために、右利きによって作られているからです。
ですが、
「隠れ右利き」に出会った時には、
ずいぶん、おどろきました。
今でも、思い返しては、うなってしまいます。

音楽院の生徒さんで、
とてもまじめで熱心な女の子でした。
小さい時から、高校卒業まで、
長い間、お伴してきました。

それが、
大きくなるにつれて、なんとなく、ギッチョな感じがしてきます。
あんなに弾けていたのに、だんだんおかしくなってきます。
その感じが、なんとも言えなく、
どうして、そんなことがそんなに難しいのかな、と、
経験から考えたり想像したりしても、
わからない。
なんだか、逆さまのような気がする。

変だなぁと、思っているのですが、
どうも解決がつきません。
ある日、話をしていて、
ええっと、思います。
高校生になって、もう卒業前、という時です。

実は、
彼女は、コンペにも出るくらいのレベルの
フェンシングの選手でした。

それが、
自分は、左利きと言われて、
左手でサーブル(武器)を持つけれど、
実際は、自分は右利きだ、というのです。

小さかったころ、フェンシングの先生が、
「あなたは左利きだから、左手でサーブルを持つように」と、
仕込まれた、というのです。
でも、自分では、右利きだと思っている。
もし、そのエラーこそ無かったら、
今、自分は、もっといいレベルに行っていたはずだ、
もっと勝てるはずだ、と、
カンカンになって怒っているのです。

いつもは、静かで、
はにかみ屋さんで、
あまり何も言わないお嬢さんが、
そのことでは、かなり強い口調で、
お話ししてくれましたので、
わたしも、びっくり。
なんと気の毒な。

そして、ピアノのことを、振り返ってみますと、
あぁ、そういうことか、と、
ものすごく、ふに落ちます。
両手が水面下で戦っていた感じ、というのが、
いつも感じていた、あの違和感だった、と
納得がいきます。

それではギッチョになるはず、と思いました。
それに、
それなら、右手に取り替えればいいのに、と思ったのですが、
もう遅かりし、だというのです。
その悔しさと言ったら!

その後、ピアノは卒業して、
他の地に行かれましたので、ピアノのことはわかりませんが、
(今、もう、すんなり弾いてらっしゃると思いますが)
そして、この話は、「隠れ右利き」なんていう特別な例なのですが、
まぁ、それはともかく、

もっとシンプルな例で、
もしかすると、自分は左利きかもしれない、
ということを疑ってみると、
ピアノで、
こじれていたものが、すっと、取れるような、
そんなことが、起こることもある、という話でした。




Chiyo



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