暗譜のしかたについて、ステップ1をお話しします。
まず、残念な事実をお話しします。
人間は、どうしても、間違えたりする、ということです。
こればかりは、しかたありません。
巨匠音楽家でも、いろいろあります。
*ロシアの巨匠ピアニスト、T. ニコライエヴァさんは、
バッハの平均律を、全部、軽々と暗記なさっていたような方です。
ところが、ある日、
ショパンの小曲を弾いていて(ノクターン?)、
どうしても、終わり方がわからなくなってしまって、
ぐるぐる回ってしまったそうです。
なんどやっても、ぐるぐるしてしまったので、
楽屋に楽譜を取りに行って、やっと終えることができた、という
伝説があります。
*ある、ドイツのピアニストが、
リストのソナタという、大曲を弾いた時。
これは、
「ザ・ソナタ」とも言える難曲で、
技術的にむずかしいのに、さらに、
1楽章から成っているため、27分間、休む部分がない。
がんじょうな集中力が、必要です。
そのソナタを弾いた時に、
終わりのあたりで、また前の方に戻ってしまったのです。
そのせいで、27分が45分くらいになってしまった。
観客も、気の毒なご本人も、
ハラハラと、くたびれ果てたそうです。
* 有名な女性チェリスト J. ドュプレさんは、
ある時、ある協奏曲のカデンツ(ソロ部分)を弾いていて、
そのソロが、途中から、別な作曲家のソロになってしまった。
まぁ、カデンツなので、
自由にやって良いのですが、ご本人も驚いたという話。
* 日本にも、
暗譜を忘れてしまって、
「だから、ヤンなっちゃうのよね〜」と、
曲の途中で声を出してしまう、
チャーミングな女性ピアニストがおられます。
* ついでに書いてしまうと、
私の好きな「フーテンの寅さん」では、
おいちゃんが、
「おい、さくら。枕、取ってくれよ」
と言うのを、間違えて、
「おい、マクラ。さくら、取ってくれよ」
になってしまった、というのがあります。
あまりにも、いい感じなので、
映画には、それが収録されているのです。
というふうです。
そのことを、まず覚えておいて、
「言いまつがい」や、ど忘れするのは、仕方がない、と
あきらめましょう。
それでは、どうするか。
私のしていることは、
1)そういうことを想定して、暗記すること、
2)めちゃくちゃでも、インプロでもいいから、
その場しのぎをする、です。
続けるのです。
そこで、止まって、頭をぽりぽり、かかない。
なんでもいいから、ともかく続ける。
そのやり方を、次に説明します。
(続く)
* まとめ
「言いまつがい」や、ど忘れをするのは、
人間の性質、と悟る
Chiyo
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