2021年3月26日金曜日

はじめの一歩

ピアノでも、お片付けでも、なんでも、実行に移すまでが大変です。

「弾きたい」と思っていても、なかなか手をつけられない、
「あそこを片付けたい」と思っていても、いつまでたってもそのまま。
「例のこと、手続きしなくちゃ」と思っている書類がまだ、ある。

ですが、ギリギリの日が来て、
どうしてもやらなくちゃ、と、いざやってみると、
けっこうすんなりと、コトは済んでしまうのです。
呆気ないくらいです。
終わった充実感で、気持ちいいです。

似たようなことで、
ピアノの発表会や、試験の面接の時。
本番の最中よりも、
待っている時間の方が、よっぽどイヤな時間だったりします。
待ち時間。
私など、
ドキドキするのを通り越して、
ただ単に、エネルギーが消え失せてしまうこともあります。

日本では、
案ずるより生むが易し、などと言いますが、
フランスには、そういうのは思い当たらなくて、
「行かなきゃならない時は、行かなきゃ」とか、
アラブの人が
ヤラ!」(レッツゴーみたいなもの?)と言うくらいです。

つまり、
実行中の方が、
実行する前の悩みより、ずっと楽なのです。
あんまり考えすぎずに、
思い立ったら、実行に移してしまう。

そうすると、進めるようです。
次は、何しようか、となります。
どんどん視界がひらけてきます。
そして、だんだん、
楽しい」という声が聞こえてくるようになるのが、
感じられてきます。



* まとめ

「待ち時間を無し」にすると、実行に移しやすい。
 




Chiyo

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2021年3月25日木曜日

いちじくジャム!


 オンラインではなくて、オンラクイン(音楽院)でのことです。
がんばり屋さんの、7歳のイスラちゃんに、
バランスの話をしていたときのことです。

右手と、左手の音色をバランスよく、という話です。
7歳の女の子に、「バランス」と言っても、
ちゃんとよくわかってもらえるのか?

それならこの際、
ハンバーガーとか、フライドポテトに、
どんな風にソースをかけているか、という話を聞いてみよう、と
思います。
子供の好きなもの、ナンバーワンは、たいていマクドナルドの食事なのです。

ところが、
イスラちゃんの大好きなものは、
ブロッコリー。

!!

では、
マヨネーズか何かかけて食するのかと思えば、
塩も、かけずに食べるのが好き、ということです。
私の目論見は、失敗に終わります。

次に、それでは、
タルティンヌは、好きか、と聞きます。
タルティンヌは、バゲットパンなどに、何かを塗ったものです。
毎朝、食べる、ということで、
ホッとします。
バターとジャムをつけて食べる、というので、
ああ、なるほど、
ジャムは、イチゴジャム、それともアンズ?

すると、
珍しいことに、
「いちじく」ということです。
いちじくジャムは、作ったり、買ったり。
どちらでもいいが、
いつも、いちじくジャムだそうです。

なるほど。
感心してしまって、
どうしてそんな話を始めたのかも、忘れてしまいます。

「へぇ、いちじくジャム!珍しい。実は、
私も好きよ」
いや、私は、どちらかというとコンポートの方が好き、
おばあちゃんが昔、よく作ってくれた。。。などなどと、
話がどんどんずれてしまいます。
コンポートというのは、
果物の砂糖煮です。
砂糖味が薄いので、いくらでも食べられてしまいます。

そして、
そこまで来て、やっと、元の「バランス」の話に戻って、
ジャムつけすぎ、とか、
ジャム足りなすぎ、の話になります。
どういう味になるか。

と、ピアノの話をしながらも、
私は、私で、
そうか、イスラちゃんは、
あの優しいお母ちゃんに、毎日タルティンヌを用意してもらって、
学校に来ているんだな、と、
シーンが、目に浮かんできます。
アラブの国では、そういえば、いちじくジャムが出てきたりするな、と
思い出したりもします。

私は、東京から。
イスラちゃんはアルジェリアから。

その2人が、フランスで出会って、
同じように、いちじくの煮たのが好きで、
同じピアノの曲を弾いて、
これまた、運命だなぁ、などと
思ったりしました。




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2021年3月24日水曜日

趣味ピアノの、パワー

趣味でピアノを弾いてらっしゃる方を拝見していますと、
その熱心さには、ハッとさせられます。
そして、頭が下がる思いです。

それは、受講生の方、
そして、ツイッターなどで動画を載せている方、
独学の方のご様子、をみて思います。

そして、その楽しさが伝わってきます。
もし、何かお悩みのことがあるのなら、
すぐ、お手伝いしたい、と思ってしまいます。
(私は、今まで、かなりたくさん悩み、
試行錯誤をしてきましたので、色々工夫のアイデアがあるのです。
それをぜひ使ってください〜と言いたくなります)

これだけ夢中になれることがあるのは、
ステキだと思います。
ちょっとくらいイヤなことがあっても、
ピアノに向かえば、もうそれを忘れて、
スッキリ、という方もあります。

私は、毎日ピアノに向かっていますので、
そういうことを、忘れてしまうこともあります。

ちょっと苦労してでも、頑張って、
その暁に、うまくできるようになった時の喜びも、
大きいです。
初心者の方でも、レベルの高い方でも、それは同じ。
わかります、わかります!
それを、側で拝見できるのも、嬉しいことです。

趣味ピアノの、パワーではないかと思います。



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2021年3月23日火曜日

時間が、ない時

大人になって、ピアノを弾いていますと、子どもの時とはちがって、
なかなか思うように時間がとれない時もあります。

そういう時は、みなさんどうなさっているのでしょう。

私は、あまり気にしないで、やり過ごすのがいい、と思っていますが、
一方で、
そのあと、いつものペースに戻った時に、どういう状態になっているか、
ちょっと心配でもあります。

まぁ、サビついてしまうこともありますが、
しばらくやっていれば、またすぐ元に戻るのですが。
それが、ちょっと悔しいのは、確かです。

でも、
今、思いますが、
弾けない時は、弾けない、と腹をくくって、
それに抗わないのが、一番、ということになります。
あとで、後悔するから、なんて思うことの方が、
よっぽどストレスになります。

さて、
それでも、
興味のある方のために、
そういう時、ピアノなしでも練習できる方法を、
書いておきます。

*初級の人向け

むずかしいな、と思っているパッセージを、
ピアノなしで、机とか、膝の上で練習。
(とはいうものの、4〜5回が限度)

楽譜を見るのもよし、なくてもよし。
テレビを見ながら、とか、
バスの中、でもよし。


* 中級、上級向け

楽譜を出して、頭の中で、弾く。
机の上で、音無しで弾いても良い。
暗譜できる人は、これで暗譜する。

(これは、ものすごく集中力がいることですので、
10分もやったら、限度になります)

ちなみに、
これは、指揮者の人が、やっている練習法です。
指揮をする人は、オケを前にする以前は、
これ以外、準備する方法がないのです。

また、悲しいことなのですが、
政治犯でプリズンに入っていたピアニストなどが、
こういう練習をしていたという話は、いくつかあります。

時間がない、という一種のプリズンに入ってしまったあなた、
いかがですか?
というのは、冗談ですが、
これも、
かなり、強力な効果があります。



* まとめ

ピアノなしの練習法は、ある





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2021年3月22日月曜日

指が、どう動くか

ピアノを練習していて、つき当る壁のうち、

1)指がどう動くか、の問題
2)指がどう動くか、とは関係ない問題

と、2通りあるようです。

1)どうすればいいか、わかっていても、
指が思う通りに、やってくれない。

私にとっては、
それが、ほぼ毎日の一番の悩みです。
そして、
それだけを解決しさえすれば、
なんとか、うまくいく、と思ってしまうのですが、

その次に、

2)の壁も、あります。
いくら、うまく弾けても、思った通りにならない。
こんなはずではない、
もっと、かっこいいはず、
もっと、グッとくるはず、
と、悩みます。
どうやって、自分は表現したいのか。


2)の解決法は、
意外と易しかったり、意外と難しかったり。

それから、
2)がはっきりしてくると、
指も、自然についてくる、楽になってくる、ということもあります。

いずれにしても、
指が動くようになって、
むずかしい曲が弾けるようになったら、
音楽的にも、上達するだろう、というのは、
あまり、ないように思います。

それより、
ちょっと、易しめの曲を、
ていねいに、自分で表現することを心がけるのが、
1)も、2)も、上達すると思います。

逆に言いますと、
どんなレベルの方でも、
1フレーズ、1フレーズを、心を込めて弾いているのが、
一番ステキなピアノになりますし、
上達も速いと思います。



*まとめ

指がどう動くか、だけではなく、
どう表現するか、を入れると、相乗効果になる。





 


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2021年3月20日土曜日

両手で弾くのは、ムズカシイ

ピアノ練習の時、まずは、片手ずつ練習していくのがスタンダードです。
そのあと、両手を合わせます。

それが、なかなかムズカシイのです。
片手ずつなら、どうにかいける、と思っていたのに、
いざ、両手で一緒に、となると、難しさは、2倍ではなくて、
3倍も、4倍か、という感じです。

そこで、あきらめたくなります。

日本では、サジを投げる、と言いますが、
フランスでは、スポンジを投げ捨てる、と言います。

ですが、
おサジも、スポンジも、投げてしまうのは、もったいないです。
そこで、
説明いたします。

片手ずつ、までは、よかったのです。
その次の、どこに留意すればいいか、は、

1)両手合わせるには、ものすごくゆっくりにする

2)片手ずつ練習も、並行して、続ける

3)片手ずつ、では、速く弾けるようにして、
両手では、ゆっくり、トライして行く

などです。

ここを、おさえておけば、なんとかなります。
しばらく、デコボコな道が続くかもしれませんが、
ある時、
「!」
と、変化を感じられる時が、くるはずです。

と、
だいたい、どんなレベルのピアニストも、
こんな風に、乗り越えていると思います。
ちょっとした峠です。
思うようにいかなくて、ちょっとめんどくさい場所です。

「ああ、来たな」と思って頑張ってください。
峠の先は、スイスイ、気持ちの良い景色が待っています。


* まとめ

ピアノを弾いていると、
おサジや、スポンジを、投げ捨てたくなることがある



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2021年3月18日木曜日

「弾き終わってあんなに充実感を感じたことは初めてです!!」

「ふだん塾」のオンライン受講生の方が、ステージで弾かれたあと、このように報告してくださいました。

すみれさん、という大人の方です。
数年前の発表会では、
気後れしてしまって、舞い上がってしまって、
がっかりするような演奏しかできなかった、とおっしゃっています。

それは、
よくわかります!
家では、結構弾けていたのに、本番で、実力を出せなかった、
というのは、本当に、悔しいことです。
大好きな音楽が、「音が苦」になってしまうこともあります。

そこを、綿密に、しっかりと準備されて、
今回は、3/7、浜松のイベントに参加され、満足のいける演奏をなさいました。
その成功は、
すみれさんの、熱心な準備と、
「弾きたい」という強いお気持ちからきていると思います
私も、とてもうれしいです。

その体験談を、
私とのメッセージのやり取りから、ご紹介したいと思います。
読んでいるだけで、
こちらまで、本番が楽しみになりそうになります。





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2021年3月17日水曜日

ピアニストの、コレステロール

以前は、コレステロール値が上がるというので、卵は、たくさん食べられませんでした。
今では、考えが変わって、
コレステロールも大事ですし、卵も一日に2個食べてもいい、となりました。

ピアニストにも、そういうことがあります。
それは、
大人になってから、再びピアノを始められた方を拝見していて、思います。

* リズムを正確にするには、メトロノームを使う(使わねば)

* バッハは、感情をおさえて、弾く

* 手の形は、常に丸くする、、、など。

ということを身につけられていた方に、
私が、まったく別なことや、
時には、正反対なことを提案せねばならないことも、あります。

すると、
びっくりされたり、
ああ、良かった、という気持ちになられたり、
色々です。

いずれにしても、
「じゃあ、今までのあれは、なんだったのか?」
という気持ちがします。

時代が変わって、
研究も進んで、
新たな観点も、生まれてきます。
ですので、そういうことが起こります。

私には、
どちらにも、一理あるように思います。
バランスが取れるのがいい、のかもしれません。
ともかく、
新しいやり方を試してみるのがいいと思います。
そして、どんな風に感じが変わるか、を
体験してみるのが面白いと思います。

今まで見ていた同じピアノが、
全然、別物に感じられたり、
まったく違う音が聞こえたり、
タッチが、しっとりしてきたり、と、
新しい雰囲気が、感じられたりします。

それが楽しいと思いますし、
ますます進んでいくエンジンにもなったりします。
それをお供するのが、
とても楽しいです。

* まとめ

時代は、どんどん変わっている。
新しいやり方を、試してみると、ドンドン進める可能性。




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2021年3月16日火曜日

リミットレスな、私たち

きのう、日本のテレビを見ていましたら、東北の農家の様子がうつりました。
炭焼きがとても上手な、80歳を越した夫婦の方が、見えました。

ずいぶんハードな力仕事だと思いますが、
もう何十年もやっているそうです。
木を切るのが、82歳のおばあちゃんの仕事。
揃えられた木を、かまどに入れるのが、82歳のおじいちゃんの仕事。
楽しそうに仕事しています。

「炭焼き」という、その仕事は、
全く知らなかったことなのですが、ものすごい微調整を必要とする、
名人芸なのだそうです。

いい炭が焼ければ、
それは、煙もあまり出ず、匂いもせず、
熱く、よく燃える。

それができるようになるには、
何十年も必要だそうです。
そして、
次の世代に、その芸を、教えてらっしゃる。
それが、楽しい、と。
(あぁ、わかります。私もです)

いい空気の中で、
野菜も育てて、
毎日、力仕事をなさって、それは、健康にいいに違いありません。
だから、
そのお年でも、お元気なのかもしれませんが、
同時に、
そのお年でも、そういう力仕事ができる、という
ステキなお姿を拝見して、
思います。

人間は、続けてやっていれば、
高齢になっても、いろんなことができるように設計されているのだと思います。


「いつまでできるかねぇ」
「ずっと。死ぬまで」
「そうだべな、死ぬまで」と、

ニコニコ顔の、おじいちゃんでした。

日本のお年寄りは、すごいなぁと、
改めて、力をいただきました。




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2021年3月15日月曜日

ピアノ技術を、インストールする方法


 きのうは、YouTube で、マルタ・アルゲリッチ巨匠の演奏を聴いていました。
YouTube という、こんな便利なものができて、いろんなことができる時代です!
バッハのパルティータ、去年の秋、
観客のいないフェスティバルでの演奏でした。

一昔前は、
アルゲリッチの大ファンが、私のまわりにもたくさんいて、
コンサートがある、と聞くと、遠くても、がんばって聴きに行っていました。
ドタキャンをするので有名なピアニストです。
運よく、コンサートにありつけた人があれば、
そのみやげ話を、
私は、興味深く聞いていました。

どうやったら、あの技術を少しでも盗めるか、と
真剣に、話を聞いていました。

さて、
私は、アルゲリッチのコンサートには、
残念ながら、ありつけたことがありません。
ですが、生のご本人を、近くで見たことがある、というのが、
私の宝物です。

これまたずいぶん昔のこと。
パリで、偉大なる、ポリーニ巨匠のリサイタルに行った時のことです。
ホールの階段を上っていましたら、
気がついたら、
私の目の前に、アルゲリッチが、同じく、階段を上っていたのです!

誰かを探すように、うしろをさっと、見たときに、
私は、気がついたのです。

小柄で、
普通のプリント地のスカートでした。
ショルダーを肩にかけていました。
ふつうの人でした!
こんな小さな体から、
どうしてあれほどのエネルギーが??!!

(ついでに書いてしまうと、
ふと上を見上げたら、
あの小澤征爾さんが、立っていらっしゃいました!)

さて、
そんな強い印象で始まったコンサートは、
ポリーニ巨匠が、バッハ平均律を全曲(I,II)という、
珍しいプログラム。
ペダルをふんだんに使った、これまたすごい演奏でした。
忘れることのできない40年くらい前の、コンサートです。

そして、時間はコロナ時代へ。
きのうYouTube で聴いたアルゲリッチのバッハは、 
シナゴーグというユダヤ教の教会で、でした。
響きが豊かでした。
まるでペダルをふんだんに使っているみたいですので、
例のポリーニのバッハを思い出したりしました。
アルゲリッチさんも、あのパリのコンサートを、
覚えているかしら、なんて、想像しました。

いつまでもお元気で、
こうやって素晴らしい演奏を聴かせてくれるのが嬉しいです。




こうやって、
動画で巨匠の技術を見ることができます。
見ているだけで、自然に、身についてくることはあります。
ちなみに、
そして、
ずいぶん前の、ラフマニノフの協奏曲も、リンクを載せておきます。

彼女の技術は天才的ですので、
見ているだけで、圧倒されます。
手の動きが速すぎて、見えないこともあります。
それでもずっと見ているうちに、
だんだん、技術が、こちらにインストールされてきます。
ピアノっていうのは、こうやって弾くんだなぁというのが、
自然にわかってきます。

興味のある方は、
試されるといいと思います。



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2021年3月13日土曜日

憧れの人を、どんどんパクる

前回の記事で、演歌やバッハのお話をしましたところ、
演歌とバッハを、どうつなげるのか、というご質問がありました。

ご質問は、もっともです。
演歌の雰囲気と、バッハの雰囲気とは、結びつかないですね。

それは、「様式」の部分です。
ジーパンで結婚式に行くのは、はばかられる、というようなことです。

それでも、
様式や、使う言葉がちがっても、
ジーパンでも、タキシードでも、
その人それぞれの、
やさしさ、とか、
興味しんしんさ、とか、
軽さ、もしくは、落ち着いた感じ、とか、
熱っぽいところ、
など、
そういうものは、常にあります。

そこのところです。
そこが、「歌心」だと思っています。
様式を、超えてしまう何か。

そこが、おもしろいのです。
そうだと思いませんか。
それが、あなたにも、必ずあります。
さぁ、それは、どんな風なんでしょう?

最初は、いろんな人を真似て、
憧れの人のように歌いたい、とか、
トライしていきます。
そして、
いつの間にか、
いくら真似をしても、真似できない、
やはり自分流みたいになってしまう、というのが、
だんだん明らかになってきます。
同じバッハを弾いても、
同じショパンを弾いても、
十人ピアニストがいれば、
十人十色になるのは、そのせいです。
それができる頃には、
もう、ずいぶん楽になっています。

それには、
まずは、ご自分の好きな歌手(演奏家)を、
真似していくのが、いいと思います。
自分が憧れるミュージシャンには、
だいたい、
自分自身と似ている部分が多いと思います。

遠慮せずに、
どんどん、パクりましょう。



* まとめ

「自分」の歌心を見つけたかったら、
まずは、パクリから始める





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2021年3月11日木曜日

あなたの「内なる声」とは?



 ピアノで「もっと歌って」と言われても、どうしていいかわからない時。

難しい譜読みを終えて、
リズムに注意して、
指使いに気をつけて、
ここまで来ました。

いろんなことに気をつけて、
肩の狭い気持ちがしながら、やっとここまで来たと思ったら、
突然、「好きなように歌って」と、言われてしまいます。


好きなように、って言われても、
どんな風に歌ったら、ベートーベンさんが「いいね」をしてくれるのか、
どうすれば、バッハさんも、バロック風にちゃんと歌ってる、と思ってくれるのか、
ハタハタ疑問です。

ここが、ムズカシイ。

では、
私が、どう試行錯誤しているか、と言いますと、
私は、私の生まれ育ちでやるしかないですので、
バッハさんのことは、ひとまず抜きにして、
楽譜に向かいます。

歌う、と言ったら、
私が歌うときには、
聞くともせずに聞こえていた昭和の歌謡曲とか、
たくさんの音楽会で聞いていた曲とか、
中学の時の合唱の歌とかが、基本になっています。
私は、私の持っているものでしか、歌えないのです。

ですので、
なんでもいいから、それを素材にして、
歌を歌っていきます。(ピアノの上で)

ずいぶん昔に、日本の大ピアニストの方が、
「お味噌汁を毎日飲んでいる日本人がピアノを弾くと、
演歌になってしまう」というようなことを、
おっしゃっていました。

そういうことは、
もしかするとあるのかもしれませんが、
それもいい、と私は思います。
いえ、それでいい、です
なんでもいいですから、
自分の歌を、(ピアノで)歌うのが、一番簡単ですし、
説得力あると思います。
聞いている人の、心を動かすことになると思います。



* まとめ

「内なる声」を、表現してみる。
コーヒー味でも、お味噌汁味でも、どちらもそれが本物





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2021年3月10日水曜日

シューマン先生の、アドバイス

ピアニストにとって、とてもためになるアドバイスを、
ロバート・シューマンがしています*。

「もっと歌って」にもつながることなので、
きょうは、シューマン先生のお言葉の話です。

ずっと、心に残っている言葉のうちに、

「合唱団に入って、特に中声パートを精魂込めて歌うと良い」

というのがあります。
私は、合唱団では、いつもアルトで歌っていましたので、
しめしめ、と思ったからかもしれません。

でも、まあ、ソプラノの人、バスの人は、
がっかりすることはありません。
合唱をなさらない方でも、大丈夫です。

大事なのは、
内声に気を向ける、というようなことだと思います。

ピアノは、ポリフォニー楽器ですから、
いろいろな声部が織物ののように、曲をつくっています。
その中で、
内声をたどって、それだけを弾いてみる、ということ、
それと、
その声部が、メインメロディと、どうハモっているか、を
感じるということです。

初心者の方には、ちょっと難しいでしょう。
中級以上の方は、そんなことも感じながら、練習なさるのも、
いいと思います。

* まとめ

たまには、内声だけに、注目してみる








 


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2021年3月8日月曜日

あなたの音色の数は?

「もっと歌って」と言われても、具体的にどうしていいのか。
その続きです。

先日は、伴奏とメロディとの音の差をつける、ということをお話ししました。

きょうは、音色についてです。

音色は、たくさんあったほうがいい、と言われています。
写真のピクセルのような話です。
ですので、
音楽家は、音色が豊かな楽器の方が、いい、と、
高い楽器を買ったりします。

ところが、
実際には、そんなにたくさんの音色を持たなくても、
音楽表現は、できることもあります。
チェンバロなど、
音色に変化をあまりつけられなくても、
表現できることは、いくらでもあるのです。

色鉛筆に、12色、24色、36色、と
色々な箱があったのを思い出します。
大きな箱は、憧れでした。
でも、
たくさんの色を持っていれば、素敵な絵が描けるか、というと、
そうとも言い切れません。

きょうは、
ピアノで、初心者の方でもできる、
効果的な音色の使い方をお話しします。

コツは、
色のコーディネートと似ています。
その隣に、どういう音色を持ってくるか、です。
この色のセーターは、このパンツには似合わないけれど、
この白のパンツだと、グッときれいに見える、という感じです。
色が、はえます。

ここは、mp にしたい。
でも、その前が、mp だったら、ちっともはえません。
ですから、その前を、もっと強くしてみる。
または、その後を、ちょっと強めに。

ここは、弱いけれど、くっきりした音にしたい。
でも、その一方で、伴奏や内声が、やかましければ、
はえません。
伴奏や、内声を、もっとぼやっとした音にする。
(ぼやっとした音というのは、誰にでもできます)

など、など。

少ない音色で、どれだけの表現ができるか、を、
この方法で、試してみてください。


* まとめ

そばに、何を持ってくるか、で、
音色は、グッと効果的



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2021年3月6日土曜日

旅する、受講生の方

「ふだん塾」の受講生には、いろいろなタイプの方があります。
その中のお一人が、この週末に、あるイベントに参加なさいます。

浜松国際ピアノアカデミー2021というものです。

その方が、イベント最後のコンサートで、一曲ご披露なさるのを、
ライブ配信で聴くことができますので、
ここにお知らせいたします。 

2021年3月7日(日)15時(日本時間)から〜


その方は、
ピアノを追求するために、
これまでに、2度、一人旅をなされたそうです。
大人ピアノの方。
その意欲は、素晴らしいと思います。
繊細、かつ情熱的な、ステキなピアノを弾く方です。

もう、現地に着かれたようで、
きょうは、浜松駅で、「駅ピアノ」を弾かれた時の、
動画が送られてきました。
とっても、いい感じです。
通る人の反応も、見られます。
感じ入っているような気がします。

私も、楽しみに、応援しながら、
日曜日のライブ配信を、観ることにしています。
フランス時間ですと、朝の7時。

朝ごはんも早めにとって、パソコンの前に座る予定。
大人ピアノの方々、勢揃いのコンサートのようです。

ご興味のある方は、
ご一緒に、どうぞ。

(日本時間では、15時です!)



Chiyo

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2021年3月5日金曜日

「もっと歌って」と言われても

きのうは、レガート奏法について、お話ししました。
レガートにすると、それが「もっと歌って」につながるだろう、というのは、
なんとなくわかります。

だいたい、
先生に「もっと歌って」と言われている時は、
なんとなく音楽的に味気ない、という時だ、というのもわかります。
確かに自分でも、そんな気がします。
でも、どうやっていいのか、よくわかりません。

きょうは、
具体的にどうしたらいいのか、お話しします。

それは、
メロディと、メロディでない部分の音の差をつける、です。

これは、どなたでも知っている、簡単なことです。
簡単すぎて、忘れてしまうこともあります。
そのせいか、
伴奏が、バタバタしている、とか、
内声が、やかましい、というのは、
よくあることです。

少し、オーバー気味に、差をつけてみる練習をするのが、
いいと思います。

また、
自分では、なかなかわからないことも多いです。
ですので、
私は、小姑のように、どうの、こうの、と、
言い始めることになります。
また、自分で動画を撮って、
聞いてみるのも、劇的に良くなったりします。

これだけで、かなり改善されることが、多いです。


*まとめ

メロディと、メロディでない部分の、差をつける。
オーバー気味にやるのがいい。




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2021年3月3日水曜日

レガートで弾くための、ヒント


 















レガート奏法というのは、ピアノ技術の中でも、
よく話題になる奏法です。

ピアノという楽器は、どちらかというと、
カタカタと、タイプライターみたいな音になりやすいです。
それを、どうやって、歌っているようにみせかけるか、が、
ポイントになります。

自分では、レガートで弾いているつもりでも、
先生に「もっとレガートで」と言われたことは、
私は、何度も何度もあります。
「レガート」という言葉に、不信感さえ、持ったこともあります。

「もっと、レガートとは?」
というのが、よくわからなかったのです。
その時、質問すればよかったのですが、
だいたい言われていることは、「もっと歌って」ということだという
気がしていましたので、
頑張って、色々やっていました。

(ちなみに、「もっと歌って」というのも、
これまた、アイマイな要求に思います)

さて、
それが、もう少しはっきりしたのは、
その後、
チェンバロを習っていた時のことです。
チェンバロには、surlier という奏法があります。
これは、
オーバー気味に、スラーをかける、という意味。

つまり、
ある音から、次の音に移る時、
重なる部分を、多くする、ということです。
普通なら、「にごりますから、指は、さっさと上げましょう」
というところを、わざと、
2音、にごらせる。

前の音を、しばらく押さえておく、という弾き方です。

そのことを知ってから、
ピアノでも、レガートのコツがわかってきました。
そんなに悩まなくていい、とわかりました。
前の指をあげるタイミングを、遅くすればいい、ということです。

ヒントになりましたら。



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